Vol.33 ダーラナ地方 ③ テキスタイルミュージアム
シリアン湖の北岸に位置する町ムーラと言えば、19世紀の国民的な画家アンデシュ・ソーンの出身地として有名です。ムーラのメインストーリーからシリアン湖沿いに約10分少し歩いて行くと、ソーンが丸太小屋の民家を集めて作った野外博物館に行くことができます。そして野外博物館の隣にテキスタイルミュージアム(Textilkammaren)があります。
このテキスタイルミュージアムには、シリアン湖周辺の村々に住む人々の手によって作られた伝統的な織物、レース、刺繍、編み物、そして民族衣装などの古い資料が収蔵されています。民族衣装は男性のものや女性のものにも、細かい刺繍や丁寧に織られた手織りの布が使われていて、見ていて飽きません。
長く寒い冬を少しでも暖かく過ごすために織られたウール地や目がつんだニット類のデザインをじっくり見ると、単に気候風土にあったものを作ろうとしただけでなく、見た目にもセンス良く素敵なものに仕上げたいという作り手の思いをうかがい知ることができます。ダーラナ地方を訪れると、いつもこうした暮らしに密着したテキスタイルの世界の奥深さに感銘を受けるのです。